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Kami-Robo©2003-2014 Tomohiro Yasui / butterfly・stroke inc. All rights Reserved.
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Kami-Robo
決意

「では、私が動いてみます」

次の打ち合わせの席でマドロネックファイターは静かに言った。

確執を生むのは簡単だけど、
関係を修復するには莫大なエネルギーが必要だ。

マドロネックファイターは必要以上の事は何も話さなかったが、
心の中で決意を固めていた。

30周年記念興行で達成しなければならない最重要課題は
メインイベントでバードマンとマドロネックサンが
タッグチームを結成する事。

マドロネックファイターは
その一点にエネルギーを集中することにした。

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再会

マドロネックファイターは、まずバードマンと会うことにした。

どちらか選ばなければならない場合、
やはりどちらかと言うとバードマンの方が話しやすい、という事だろう。

とは言うものの、まずは大会の事は話さずに、
久々に会う今のバードマンの人物像を素直に感じてみよう、と
マドロネックファイターは思った。

「男子三日会わざれば刮目して見よ」 ってところだろうな。

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バードマン

バードマンはマドロネックファイターが指定した
「隠れ家的なバー」に現れた。

隠れ家的なバーなんだろうな、この場合は。
マドロネックファイターはオシャレっぽくカッコつけるだろうし。

この場合は、やっぱり居酒屋ブルーキラーには行かないだろうな。

あのオヤジは口が軽そうだしな…。

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静かに話す

しばらく2人は近況を話した。

マドロネックファイターは会話の端々に
バードマンの成長ぶりを強く感じていた。

さすがはカミロボプロレス界最大勢力マックスリーグの
トップレスラーだ。

今日のところはそれが分かっただけで十分だろう。

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Kami-Robo
帰り道

帰り道、2人は少し歩いた。

そしてふいにマドロネックファイターが口を開いた。

なぁバード、率直な意見を聞かせてくれ。
今、バードマンとマドロネックサンが和解して
同じリングに上がる事は… 可能か?」

マドロネックファイターは自分でも驚くほど
単刀直入に話を切り出していた。

とりあえず今日はその話はせずに
帰ってしまっても良いかと思っていたのだが、
カミロボレスラーとして大きく成長しているバードマンに対して
顔色をうかがいながら距離を詰めようとしている自分が
なんだかバカバカしくなってしまったのだ。

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Kami-Robo
組むのは辛い

「あの人とタッグを組む、って事ですか?」

…そうだ。
場所はカミロボプロレス30周年記念大会のメインイベント。
それが実現したらカミロボプロレス界の未来が
大きく開かれると思うんだ」

話を聞きながら遠くを見つめるバードマン。
そして、しばしの沈黙のあと口を開く。

…う〜ん、そうだなぁ。
ご存知のように、ウチの会社は簡単にはイエスとは言わないでしょうね」

まぁ、それはそうだろうな。天下のマックスリーグがそんなオイシイ話を
外部に仕切らせる事はないだろうな」

とりあえずその部分は置いておいて、オレ個人の意見としては…
そうですねぇ… 組むのは辛いなぁ…」

「…まぁ、そうだろうな…」

組むのは辛いですよ。
でもね、タッグを組んで… 愛想笑いしながら
今はもう仲良しですよ、って顔して同じコーナーに立つ事の辛さを思えば、
いっその事、戦った方が良いんじゃないかって思いますよ。
うん。戦ったほうが未来があるって言うか、
むしろ健全だと思いますよ」

「…戦う…!?」

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Kami-Robo
プロレスという競技

バードマンのまさかの提案に、
マドロネックファイターは逆に驚いてしまった。

バードマンとマドロネックサンの再戦は、未来があるどころか
2人の選手生命を完全に断ってしまうかもしれない危険な行為だ。

仲が悪いのならば、プロレス中継でよく見るように
「テメー、リングで決着つけようじゃないか!」と、マイクで騒いで、
試合を組んじゃえばいいじゃないか、という意見もあるだろう。

しかし、プロレスはそんなに一筋縄ではいかない面もある。

「仲の悪さ」は試合を盛り上げる重要な要素となるが、
仲が悪すぎるとそもそも試合を組む事すらできないのがプロレスだ。

根っ子のところで相手を信用していないと、
相手を殴ったりぶん投げたりすることはできない。

その感覚は空想遊びの世界である「カミロボプロレス」でも同じで、
作者本人にとってはとても大事なことだったりする。

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バードマンの真意

バードマンと分かれたあと、マドロネックファイターは
バードマンの言葉の真意を頭の中で確かめていた。

戦う方が良い、という言葉を額面通り受け取って良いのだろうか…

組むのは辛い、という事は
マドロネックサンとの和解は永久にないという事だろうか。

様々な思いを巡らせながら、マドロネックファイターは意を決し
マドロネックサンにアポイントを取った。

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マドロネックサン

マドロネックファイターはマドロネックサンの元を訪ね、
バードマンの時と同じように「その話」を切り出した。

前回、バードマンに対して単刀直入に話せた後だったからか、
マドロネックサンに対しても驚くほど自然にその話ができた。

いや、意識して平然を装っていただけなのだろうか。

滲み出てしまうマドロネックファイターの緊張感は
マドロネックサンに伝わっていたかもしれない。

「…そういう話か」

話を聞いた後、しばらく黙り込むマドロネックサン。

しばしの沈黙の後、マドロネックサンはこう言った。

オレは… 遠慮しときます。
他に出たいヤツがたくさんいるだろうから
オレの枠はそいつらに使ってやって下さい」
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